ダブルパンチと日本で食べたいもの、したいこと

 11月14日(木)、特に新着情報が無いため、久しぶりにクラウドファンディングのことに触れずに記事を書いてみようと思う。というのも、現在ベナンは夜の8時半過ぎ。この、ご飯だの洗い物だのお風呂だので、国民の大半が水やら電気を使う時間帯に、停電と断水が同時に起こっている。これまで停電と断水は何度も経験してきたが、ダブルパンチは初めてのような気がする。しかも、最もこの2つを使う時間帯に。

 仕事から帰って来て、私がいの一番にすることは水が出るかの確認である。その次に運動である。ベナンに来て、本当に歩かなくなった。移動はバイクタクシーか車だし、ベナン人はあまり歩くのが好きじゃないのか、ちょっとの距離でもバイクを使いたがる。だから、運動不足解消のために仕事から戻ると毎日20分くらいエクササイズをするようにしている。
 しかし、水が出るかを確認してからでないとダメだ。汗だくになってからシャワーを浴びれないと知ることほど残念なことは無い。そして今日、家に帰って水が出るかを確認したところ、見事に出なかった。いつから断水が始まっていたかは知らないが、こういうときはもう待つしかない。運動は諦めて、明日やろうと思っていたことを片付けた。
 夜ご飯を済ませ、またいい感じに汗をかき始めたところで今度は停電が起こった。暗闇は眠気を誘う。しかし、私は風呂を済ませていない体でベッドに入ることはしたくない。暑い、暗い、眠い。それなのに何も出来ない。と思って、Blog を書こうと思ったのだ。
 こういうときは、何か楽しいことを考えよう。そうだ、もうすぐ日本に一時帰国をする。そのとき何を食べたいかを考えよう。まずは何と言っても、お母さんの手料理である。同じ東京都内ではあるが、一人暮らしをしていたから、出発前もそんなに会っていなかった。しかも、実家ではなく、外食して会ったような気がする。お母さんの手料理はしばらく食べていない。
 一番に食べたいものはハンバーグだ。お母さんは大食いの私のために大量に作ってくれる。1日目はチーズインハンバーグで、2日目は大抵煮込みハンバーグになる。次に、カレーが食べたい。野菜がゴロゴロ入っていて、私のために贅沢にたくさんお肉が入っているやつだ。ベナンに来て辛い料理ばかり食べているので、お母さんの作るマイルドなカレーで舌を癒したい。3番目は、地味にお味噌汁だ。お母さんは色んな味噌をブレンドしてお味噌汁を作る。一番好きなのは、お豆腐と油揚げが入っているやつだ。シャキシャキのネギも入っているときもある。と、何だか勢いで3番目まで記したが、まだあるので5位まで書くことにする。4番目は、グラタンだ。じゃがいもとベーコンのやつがいい。表面がカリッとなっていて、中は熱々のニンニク風味のベーコンとじゃがいもでいっぱいなのだ。そしてじゃがいもをかじるときに『あちっあちいっ』と言いながら食べたい。5位は、朝ごはんに食べるベーコンエッグだ。ただのベーコンエッグ、と侮ってはいけない。お母さんの作るベーコンエッグのベーコンのカリカリ具合が絶妙なのだ。なぜこんなに私の舌に合うカリカリベーコンが作れるのか(単にフライパンから目を離しているだけ)。そして、なぜ卵とベーコンがこんなにも絶妙に混ざるのか(単にフライパンをブンブン回しているだけ)。とりあえず、実家に帰ったときは、お母さんのベーコンエッグ無くして朝は始まらない。今なら多少焦げていても気にしない。
 日本でしたいことは、何だろうか。そう言われると考えてしまうが、少なくとも短期で出来る仕事はしたい。出発前と変わらず友達と楽しくご飯を食べながら話がしたい。お世話になった先生方に会いたい。特別なことはいらない。前と同じように過ごしたい。お金があれば、スカイダイビングがしたいが、お金が無いし、これ以上親に頭を抱えさせることも出来ないので、来年に回そう。付き合ってくれる友達はいる。名付けて空友(そらとも)だ。共に空に憧れがあり、空を飛びたくて、これまでパラグライダーも室内スカイダイビングも、そしてついに昨年、スカイダイビングも一緒に挑んだ友達だ。あの感動が忘れられない。ベナンでスカイダイビングは無いので(あっても別の恐怖心があるのでやらないが)、次にやるときも一緒に日本でやろう。
 後は、年始くらいは実家で過ごしたい。お父さんの寒いダジャレにも付き合おう。そしてまたきっとiPadスマホの使い方が分からないと言うので、教えてあげよう。英語の勉強も始めたので、質問も溜まっている頃だろう。夏に会ったときに、扇風機のことを「風送り機」と呼んでいたお父さんは、暖房のこともまた「風送り機」と呼んでいるのだろうか。私が父の日にあげたムーミンのパンツもまだ履いてくれているだろうか。
 年始はお姉ちゃんも休みなので、撮りためていたフィギュアスケートの録画を一緒に見よう。そして一通り現役選手のを見終えると、いつも必ずソチオリンピック浅田真央の演技を見て2人で号泣したり、バンクーバーオリンピック高橋大輔の演技を見て、もう結末は分かっているのにハラハラドキドキするのだ。私があまり服を買わないので、未だにお姉ちゃんのお下がりをあてにしているのだが、今回も私のためにいくらか譲ってくれるだろうか。
 そしてベッドの半分、いや、もはや全面をもムーミンで埋め尽くしてムーミンに埋もれながら眠りたい。ムーミンにベッドを奪われるのなら本望である。
 私がベナンに渡る前、色々考えてとりあえず12月の帰国までは一人暮らしをしていた家をキープして来ている。家賃を無駄に払ってバカバカしいが、そうせざるを得ない事情もあったのだ。その家を、お母さんやお姉ちゃんが時折掃除してくれたり、台風の被害が無かったかも見てくれた。つい先日も、お母さんが見に行ってくれた。すると、その日、お母さんから LINE が来た。
  
 『早く帰っておいで。』
 『あらゆるムーミンがしょんぼりしている。』
 『部屋が寂しそうだった。』
 
と。くぅー、私の家にいるムーミンたちが私の帰りを待っているのか。12月まで待っていておくれ。帰ったら死ぬほどむぎゅむぎゅしてあげよう。
 そして、ようやく電気も水も復旧した。今日はもう運動は諦めよう。急いでシャワーを浴びた。週の後半は疲れと睡眠不足が溜まり始めてくる。横にムーミンがいると思って寝ることにしよう。