【お知らせ】と私の好きな本( Part 1 )
ブログを見て下さっている皆様
いつも応援して下さり、本当にありがとうございます。長らく更新が途絶えていましたが、実は水面下で色々なことをやっていました。その一環として、こんなことをやっていました。すでにご支援いただいている方、ご存知の方には、連日のお知らせとなり、申し訳ございません。
さらに、このプロジェクトをより知っていただくべく、7月23日(木)にオンラインイベントを開催いたしました。無料でしたので、現在どなたでも閲覧可能です。「クラリスに会ってみたい」というお声もいただくのですが、そのクラリスからのビデオメッセージも動画の中にあります。一張羅のベナン服を着ていますので、どうぞ見てやってください。
【YouTube リンク】
このプロジェクトでは、「シェリーココ」さんという、 アフリカ布を扱うブランドの社長さんの川口莉穂(かわぐち りほ)さん(以下、莉穂さん)とコラボをしております。
莉穂さんとは、 昨年私がベナンに渡る前に一度日本でお会いしていますが、 そのときはまさか1年後にこのような形で関わることになるとは全 く思いませんでした。上記のページ内にも書かれていますが、 莉穂さんがオリジナル新商品を作ろうと思ったところ、 ベナンにお金を落とす方法として、 私にお声がけいただいたのです。 売上の一部を寄付してくださるという、とてもありがたいお話で、 早速クラリスとも相談をしたところ、 クラリスも是非お願いしたいと言ったので、 このお申し出をありがたく受けることになりました。
莉穂さん自身がとても素敵な方というのもありますが、 シェリーココさんの商品は私も大好きです。 リターンの商品がこれまたとても豪華ですので、 是非ご覧になっていただけましたら幸いでございます。そして、 ご支援やシェアなど、よろしくお願い申し上げます。
この記事を書いて下さった山本様は、 以前私とクラリスが行ったクラウドファンディングのことも書いて 下さった方です。とても素敵に仕上げて下さって、 よくあれほど喋りが下手くそな私の話を拾って下さったな、 と思います。日本語が読めないクラリスにも、私たちのことが記事になったことを伝えたところ、彼女は Google 翻訳を使って読んだようです。翻訳とはいえ、 その素敵な仕上がりはクラリスにも分かったようで、 山本様をべた褒めしていました。 あまりにも山本様だけを褒め称えるので、書いたのは山本様でも、喋ったのは私だぞ、と言うと、鼻で笑っていました。
そして以下は、約3ヶ月前の私の日記です。
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5月29日(金)、緊急事態宣言はすでに解除された。長かった自粛生活も終わりを告げ、私が1学期いっぱい勤めることになる学校も、6月から再開することが決まっている。つまらない、退屈な自粛生活と思っていたものの、何のかんの言って、色々と学んだしやることはあったので、充実していた気はする。学校再開に向けて、授業準備も黙々とした。早く学校に行って、生徒と対面を果たしたい。
この自粛生活で読書に励んだ人もいたようだが、私は残念ながら読書は全くと言っていいほどしていない。読書は好きだし、こんなときこそ本を読みたいとは思っていたが、ひたすらパン作りや料理に熱中していた。調理師の免許を本気で取ろうかと思ったほどであった。ユーキャンの資料まで取り寄せたが、残念ながらこの日本滞在中に取れるものではなかった。
という話を家族としていたときだった。読書はしていないものの、これまで読んで来た本の中で、自分にとって印象に残る本は何だったか、と思い出してみた。真っ先に思い浮かぶのは、「アリーテ姫の冒険」だ。小学生のときだったか、母が買ってくれた。そのときは読書感想文の宿題は姉にやらせるほど、全く読書に興味がなかったが、なぜかそれは読んでみようと思った。児童書だし、短かったし、表紙がかわいくて読み始めたら一気にハマった。今思えば、このときから今の私の性格は形成され始め、今の私の人生を選ぶ予兆はあったのかもしれない。なぜなら、主人公のアリーテ姫は、姫でありながらシンデレラや白雪姫などの要素は一切無く、出てくる男どもをコテンパに論破するのだ。まあ、出てくる男がことごとくクズなのだが。優しくてかっこいい王子様が迎えに来てくれる、なんて展開にもならず、何なら自分で馬に乗って旅に出てしまうのだ。
まず、王である父親が最大のクズなのだが、アリーテ姫に対して、「女は賢くない方がいい」と平気で言ってのけ、勉強熱心なアリーテ姫をよく思っていない。そして、アリーテ姫が賢いことが世に知られる前に結婚させてしまえ、と考え、さらに、宝石をやるからアリーテ姫を妻によこせ、と言ってきた怪しげな魔法使いとアリーテ姫との結婚を許してしまう。この魔法使いは、父親に「私が出す3つの難題に姫がクリア出来なければ姫を殺す」と言ったのだが、宝石欲しさにこの父親はアリーテ姫をあっさり手放したのだ。アリーテ姫は、友達の魔女から3つの願いを叶えてくれるという指輪をもらい、嫁ぎ先に向かった。
その嫁ぎ先である魔法使いはそもそもアリーテ姫を殺そうと考えていて、お城の地下に閉じ込めた。3つの難題とやらはただの口実で、絶対に解けない難題を出して、最初からアリーテ姫を殺すつもりだったのだ。さて、アリーテ姫は、魔女からもらった、3つの願いを叶えてくれる魔法の指輪をどう使ったか。何と彼女は、監禁から逃れるためや、その難題をクリアするために指輪を使うことは一切なかったのだ。彼女は、まず監禁場所である部屋で快適に過ごすことが出来るように、徹底的に掃除を始めた。その後、監禁場所の壁がもっと明るかったらいいのに、と考えて、ここで初めて指輪を使ったのだ。指輪に絵の具と筆を出してもらって、監禁場所を自分にとって居心地の良い場所に変えた。
その後、また退屈が彼女を襲う。彼女は、今度は2つ目の願いとして、指輪に糸と針と布を出してもらった。そして、その城に住む人の分まで服を作って過ごした。3つ目のお願いは、紙とペンを出してもらうことだ。それで、面白い話を書き続け、城の使用人に聞かせたのだ。彼女はこの指輪を、自分を退屈から解放するために使ったのだ。監禁されていながら、ちゃっかりその時間を楽しんでいたのだ。
ちなみに、魔法使いが出した3つの難題とやらは、絶対に誰も到達し得ないような場所で「永遠に枯れることのない水を取ってくること」や「どんな病気も治すルビーを取ってくること」や「暴れまくる馬に乗って帰ってくること」というようなものだったが、彼女はその難題を知恵と知識でいとも簡単にクリアしてみせた。そして物語の最後で、彼女はこの暴れまくる馬に乗って、自らが取ってきた永遠に枯れることのない水とどんな病気も治すルビーを持って、父親からも城からも、姫という立場も脱ぎ捨てて、去っていくのだ。
と、完全なネタバレをしているが、とにかく面白いのだ。読んでから20年は確実に経っているので、書かれたのはそれよりも前のはずだ。イギリス人作家が書いたものだが、日本だけでなくイギリスでだって今よりもまだ女の子への差別や偏見があっただろうし、ディズニーの台頭でお姫様と王子様のお話はある意味テンプレートとなっていたはずなのに、その当時からそれに抗う作品があったのだ。読んだ当時、まだ小学生だった私は、願いを叶えてくれる指輪で助けてもらったらいいじゃん、と思ったが、今ならアリーテ姫の気持ちも分かる気がする。彼女は自分の知恵と知識を信じている。だから、難題をクリアすることも監禁から逃れることも、彼女にとってはお茶の子さいさいなのだろう。彼女にとっては退屈こそが最大の難であって、それ以外のものは自分の力で解決出来るものなのだ。
また、児童書でありながら、1つ決定的に他の本と異なる点がある。何と、主人公であるアリーテ姫の顔が一切描かれていないのだ。後ろ姿がほとんどで、正面の絵は無かった気がする。理由は分からないが、もしかしたら、数十年以上も前にこのお話を書いた作者は、「姫」と言ったら金髪でお目目パッチリで色が白くて、というように「姫」がステレオタイプ化されていたことに違和感があったのかもしれない。アリーテ姫の顔は、読者の想像に委ねる、ということなのかもしれない。強くて賢い女の子がいたっていい、お姫様だって冒険をするのだ、そんなメッセージを私は汲み取った。
私が通った大学にも、アリーテ姫みたいな人がいっぱいいた。(姫、というほど裕福な子はいなかったが。)そもそも、創始者である津田梅子が6歳にして1人でアメリカに渡っているのだ。そのスピリットは脈々と学生に受け継がれ、「女性らしさ」「可愛らしさ」から脱却し、女性こそしっかり学歴をつけて、自分の未来は自分で決めると考える人が多い。この大学に入り、強くたくましく育ち、発展途上国で英語を教えたいなんて夢を持って日本を飛び出したのは、アリーテ姫の影響を受けたのか、それとも全ては元々その因子を私が持っていたのか。
2000年もとうに過ぎても、日本では某大学の入試で、女子を不等に扱うなんて事件もあった。アリーテ姫が実在していたら、必死に苦しい釈明していた関係者たちを、何と論破していただろうか。きっと小気味よく、理路整然と、真顔でやっているに違いない。