【お知らせ】と私の好きな本( Part 2 )

ブログを見て下さっている皆様
 
 いつも応援して下さり、本当にありがとうございます。長らく更新が途絶えていましたが、最近また更新をし始めました。コロナ禍でも、クラリスベナンのことはしっかりと考えていました。その一環として、こんなことをやっていました。
 
【オリジナルアフリカ柄商品の購入でベナンの教育を支援しよう〜アフリカ布ブランドによるベナン教育支援活動応援プロジェクト〜8/16 まで!!
 
 このプロジェクトでは、「シェリーココ」さんという、アフリカ布を扱うブランドの社長さんの川口莉穂(かわぐち りほ)さん(以下、莉穂さん)とコラボをしております。
 莉穂さんとは、昨年私がベナンに渡る前に一度日本でお会いしていますが、そのときはまさか1年後にこのような形で関わることになるとは全く思いませんでした。上記のページ内にも書かれていますが、莉穂さんがオリジナル新商品を作ろうと思ったところ、ベナンにお金を落とす方法として、私にお声がけいただいたのです。売上の一部を寄付してくださるという、とてもありがたいお話で、早速クラリスとも相談をしたところ、クラリスも是非お願いしたいと言ったので、このお申し出をありがたく受けることになりました。
 莉穂さん自身がとても素敵な方というのもありますが、シェリーココさんの商品は私も大好きです。リターンの商品がこれまたとても豪華ですので、是非ご覧になっていただけましたら幸いでございます。そして、ご支援やシェアなど、よろしくお願い申し上げます。
 さらに、NPO メディア ganas(ガナス)さんが今回のクラウドファンディングのことを記事にして下さいました。こちらもぜひご覧ください。
 
 
ベナン発のアパレルブランド「シェリーココがオリジナル商品!売り上げはベナンの子どもの学費に】
 
 この記事を書いて下さった山本様は、以前私とクラリスが行ったクラウドファンディングのことも書いて下さった方です。とても素敵に仕上げて下さって、よくあれほど喋りが下手くそな私の話を拾って下さったな、と思います。日本語が読めないクラリスにも、私たちのことが記事になったことを伝えたところ、彼女は Google 翻訳を使って読んだようです。翻訳とはいえ、その素敵な仕上がりはクラリスにも分かったようで、山本様をべた褒めしていました。あまりにも山本様だけを褒め称えるので、書いたのは山本様でも、喋ったのは私だぞ、と言うと、鼻で笑っていました。
 
 
 そして以下は、約3ヶ月前の私の日記です。
 
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 5月30日(土)、昨日のように、印象に残っている本を思い出していた。「アリーテ姫の冒険」の次と言えば、遠藤周作の「女の一生」だ。1部〈キクの場合〉と2部〈サチ子の場合〉があるのだが、両方好きだ。これは、高校2年生だか3年生のときの国語の夏休みの課題図書であった。いくつか紹介されていた本の1つであったのだが、何でこれを選んだのかは分からない。私が最も選びそうにない恋愛小説ではあるが、鼻で笑いたくなるようなメロドラマではなく、事実に基づいた歴史的背景が絡んでいるから、興味を持ったのかもしれない。中学校までは、読書感想文や工作の宿題は全て姉にやらせていたが、高校生ともなると、さすがに自力でやっていた気がする。というか、姉が呆れ果ててやってくれなくなった。そして、この本が印象に残っているのは、本自体が面白かったのは言うまでもなく、この本が私の読書好きのきっかけとなったからだ。
 今でもはっきりと覚えている。めんどくせえな、読書感想文なんて、と思い、イヤイヤ読み始めてから、昼食も晩御飯も食べるのを忘れるくらい、没頭して読んだことを。ちょうど今と同じ、夏休み真っ只中であった。父と母と姉が、何事かと大変驚いて私を見ていた。それまでは、新聞も本も全くと言っていいほど読まなかった私が、取り憑かれたように熱中して読んでいたものだから、驚きを通り越して、もはや心配をしていた。食事中も、話しかけるなと言わんばかりに片手に持って読んでいた。
 課題図書であったのは、1部の方だけだったが、確か2日ほどで読了した。しかし、2部があることを知って、すかさず買いに行った。それも1日くらいで読んだ。つまり、3日ほど、気が狂ったようにひたすら読んでいたのだ。それくらいハマってしまった。単に暑いからというだけでなく、本当に読み進めるたびに手汗が流れてきて、どうするの、どうなるの、とドキドキしながら読んだ。
 主人公のキクにしても、サチ子にしても、全身全霊をかけてとある一人の男性を愛する。しかし、時代がその仲を引き裂いた。キクの場合、時は幕末から明治で、政府はキリシタン弾圧の政策のため、隠れキリシタンは流刑や拷問の対象となり、人間の尊厳を踏みにじった扱いをされていた。キクが恋したのは、その隠れキリシタンである清吉で、清吉がいくら自分のことは諦めてくれと言っても、キクは最後まで清吉への愛を貫いた。キクの子孫であるサチ子もまた、太平洋戦争から戦後という、激動の時代を生きていた。サチ子は、神風特攻隊員として出陣する修平に、決して結ばれることのない人に恋をしていた。修平も清吉と同様、自分はいつか死ぬ身なのだから、自分を忘れて幸せになってくれと願う一方、サチ子の修平への思いは揺らぐことがなく、修平が生きて帰ってくることを信じ続けた。どちらも悲恋であった。時代が違えば、生まれてくる時代が今であったら結ばれていたのに。実在しないキクとサチ子にそう思わざるを得ないほど、何なら2人の墓参りにも行ってあげたいと思うほど、実にリアルな描写であった。
 全く自慢ではないが、当時高校生だった私は、恋など皆無であった。だから、そんな恋をしている人の気持ちなんて分からなかったものだから、さっさと諦めて、別の良い男性を見つければ良いではないか、と冷めた気持ちもあった。一方で、人はこんなに一人の人を愛することが出来るものなのか、自分にもそんな人が現れるのかな、と恋を楽しみにする気持ちもあった。そして、悲恋であることを無視すれば、キクもサチ子も自分と同じ青春真っ只中にいながら、全身全霊で恋をしていることが羨ましくもあった。絶対に結ばれない恋で、キクとサチ子にしか出来ない恋で、あの時代にしかない恋だからこそ、一度限りの恋だからこそ、儚くて一生懸命で、悲恋でありながら美しい。私の語彙力ではこの悲恋をどんな言葉でも表しきれないのだが、とにかくリアル過ぎて、作者の遠藤周作がキクとサチ子なんじゃないかと思うほどだ。
 読んだ後は、すぐに立ち上がれないほどであった。ぼーっとして、まるで仮想世界を体験してきたみたいであった。この本をきっかけに、本はこんなにも別の世界に誘ってくれるものなのかということに気づいた。それから本が好きになった。多分、世の国語の先生は、そういう芽を育てたくて読書感想文を夏休みの宿題として課しているのだろう。そこから私のように本が好きになる人は、ほんの一握りしかいないだろうし、大抵の人は、かつての私のように人に書いてもらうか、ネットに書いてあるものを写す。ちなみに私のクラスメイトも「女の一生」を選んだのだが、実際には読まず、ネットの引用をしたところ、同じ題名ではあるが、全く別の作品の感想文を書いていた。それは、よりにもよって、とある風俗嬢の物語で、そのクラスメイトは生々しい描写もあらすじ欄にしっかり書いていた。高校の課題図書に、風俗嬢の物語なんかあるわけないだろう、と皆でツッコミを入れたことも覚えている。
 大部分の人がこうやって読んでいないことがバレバレな読書感想文を書いては、職員室で話題になっているのだと思う。でも、私は当時の高校の先生に感謝している。芽が育つかどうかも分からない、何も育たないかもしれないのに種を蒔いてくれたのだ。そう考えると、人は何に反応して、何に影響を受けて、後に何が開花するかは分からない。100個種を蒔いても、芽が出るのは1つかもしれないし、0かもしれないが、それでも蒔き続けるのが先生の役割なんだろうな、と思ったのであった。そして、「アリーテ姫の冒険」と同様、私はやはり強い女の子が出てくる本が好きなのだな、と思ったのであった。