七夕に願うこと

 7月7日(火)、七夕である。帰国してから4ヶ月、あの人に会いたくて準備をしてきた。あの人を泊めてくれるところを探したり、あの人が楽しめるものは何だろうかと考えてきた。こんなコロナ禍が早く終わって、あの人が安全に日本にやって来られる日を、夢見てきた。しかし、残念ながら力は尽くしたものの、あの人が日本にやってくるための全ての道が閉ざされた。飛行機にしても、ビザにしても。

 クラリスのことである。3月に私が日本に帰国したとき、コロナが収束して日本に来られるようになったら、必ず日本に招待すると約束した。クラリスも楽しみにしていたし、日本で着ても浮かない服だって買い揃えていた。(その服もだいぶ浮くものではあったが。)日本に来たらやってみたいことリストも作った。いっそ日本でダイエットでもどうかと思い、富士山に登る計画だって立てた。どんな風にして成田で迎えようかもシミュレーションした。すぐに再会することを誓って別れを告げて来たのに、このコロナ騒動、一向に収まる気配を見せないではないか。在ベナン大使館の人も、丁寧すぎるほどに情報をくれたし、出来る限りのことはしたのだが、残念ながら叶わなかった。
 クラリスが日本に来たら...そう思うとワクワクする。今年は叶わなかったけれど、いつの日か絶対招待する。クラリスは、ガーナやトーゴには行ったことはあるし、飛行機も乗ったことはあるが、果たして20時間超のフライトに耐えられるだろうか。無理難題やゴリ押しを機内でも押し通すのだろうか。
 日本で楽しいことももちろん経験してもらいたいが、私はクラリスに、日本滞在を「楽しかった」だけで終わらせてほしくない。先進国から、クラリスが学ぶことは多いはずだ。でも、それは決して、発展した技術のことだけではない。発展しすぎた国が直面している問題も知ってほしいのだ。日本にだって貧困はあることも知ってほしい。ゴミ問題は、日本だって抱えている。クラリスには、「自分たちの国に必要なものと不要なもの」をしっかりと見極めてほしい。ベナンが同じ過ちを繰り返さないように、先進国に賛美の眼差しを向けるだけでなく、批判的に見てほしい。
 いつのことになるか、まだ分からないが、クラリスの日本滞在が有意義なものとなりますように。

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書いた短冊と。

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私のお願い。