質問コーナー

 10月8日、今日は、私を応援してくださっている方から兼ねてからいただいていた質問に公に答えようと思う。ある程度質問の数が溜まったらこのような質問コーナーを設けようと思っていたのだが、気がつけば数えられないくらいになっていたので、キリよく今日は5個の質問に答えようと思う。

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①【アフリカの家ってどんな家?】
 結論から言うと、ピンからキリまである。あまり人の家を写真に撮って載せることは気が進まないので載せないが、日本の基準で見ても大豪邸にあたるどデカイ家もあれば、家と言っていいか分からない、小屋のようなものもある。集合住宅はたくさんあるが、高層マンションのようなものは無い。クラリスの家は、横並びに7〜8軒連なっているアパートである。クラリスは私が来る前はここに1人で住んでいた。他の世帯は皆ファミリーであるので、1人暮らしには広すぎる。ベッドを2つ置いても狭すぎることは無いし、必要なものは揃っている。足りないのはソファだけだ。クラリスも私もテレビは要らない派なので、その分リビングが広く、クラリスのバイクすら置くことが出来る。広さは日本の単身者用マンションより圧倒的に広いが、やはり質ははっきり言って悪い。ドアや壁は隙間だらけだし、建てつけも悪い。雨が降るとキッチンは雨漏りするし、屋根裏にはネズミも共存している。朝や夜には駆けっこでもやっているのか、凄まじく天井を走っている。隙間が多いということは、つまり黒いアレも他の虫も入って来やすい。今のところ、黒いアレは見つけ次第退治するか追い出すが、クモやハエとアリとはもはや一緒に住んでいるのレベルである。
 また、基本的に日本と同じように玄関で靴を脱ぐ。しかし、外と内との境界は日本ほど無く、家の敷地内なら外でも裸足で歩いている人が多い。そしてそのまま家に入っている。だから私はクラリスの家ではスリッパを履いている。元から裸足に抵抗があり、日本の家でもあまり裸足にはならない。クラリスは隙間から入って来た虫たちをうっかり素足で踏むこともよくある。
 
②【ベナン人ってどんな感じ?治安は?】
 結論から言うと、色々な人がいるので、あくまでも自分が見聞きした人で言うと、まず男女問わず音楽が大好きな人が多い。道を歩いているときですらスピーカーを持っている人がいる。バイクタクシーの運転手は突如体を揺らして歌い始めたりする。性格的には、とても温厚であり冷たい人や声を荒げる人は見かけない。ただし、主張は強い。価格交渉制ゆえに、お金を払うときに揉めている人を見かけることはあるが、殴り合いになったりはしない。
 アフリカ人と聞くと、マッチョや身長も高い人を想像するかもしれないが、ベナン人男性は思ったより小柄で日本人男性と体型も似ている。身長もそこまで高くないし、よほど鍛えている人でなければ筋肉質な人もそういない。女性はふくよかな人もいれば、モデル体型の人もおり、一概には言えない。また、女性にとっては髪の毛をアレンジすることがオシャレであり、しょっちゅう変えている。ちなみに、女性も男性も、アフリカ人は髪の毛があまり生えない。女性でも坊主に近い人もいる。男性は髪の毛が伸びないので、オシャレとして少し染めたりしている人もいる。
 いわゆるギャングやマフィアのようなものは見聞きしない。ドラッグやタバコの類も無いし、お酒が飲めない人が多い。ただし、それらは健康を考えて控えていると言うより、宗教的に禁じられているからだ。
 治安は極めて安定しており、少なくとも殺人や暴行などの心配は今のところ無い。夜間は、バイクタクシーのスピードを取り締まったり、たまに無免許で運転しているバイクタクシーもいるので、警察官が道に立っている。一度、私とクラリスがバイクタクシーで夜遅くに帰ったとき、家の少し手前で警察に止められたことがあった。暗い中、銃を持っている警察にいきなり止められて、また懐中電灯で私たちを照らしながら、勇み足で何と私に近づいて来た。何だ、不法滞在なんかしていないぞ、と思い、不安で心臓がバクバクしたが、その警察官は私に近づくなり、
 
     "Japanese? Japanese? Yamamoto? Sato?"  
 
とニヤニヤして聞いてきた。なぜその2つの名字を知っていたかは知らないが。さらにクラリスと現地語で話した後、クラリスは半ば呆れながらこう訳してくれた。
 
     "He said he wanted you to teach Japanese."
 
大丈夫だろうか、この国は。しかも、そんなやり取りをしている間に、バイクタクシー1台がすごいスピードで素通りしていった。警察は、「あ、逃げられちゃった」のような面持ちで見ていた。しかも、さっきからやたらスマホを真剣に見ている警察官もいるな、と思ってチラ見すると、必死にゲームをしていた。本当に大丈夫だろうか、この国は。ちなみに、警察官が我々が乗ってきたバイクタクシーの運転手に免許証を見せるよう要求すると、何と彼は無免許であった。警察官は、今後はバイクタクシーに乗るときは免許があるかどうかを確認した方が良いとアドバイスをしてくれた。さらに、警察官が家まで送ってくれることになった。しかし、銃を見慣れていない私はやはり彼と一緒に歩くのが怖く、クラリスと彼の一歩後ろを歩いていた。クラリスになぜ一緒に歩かないかを問われて、
 
    "His gun...it's scary."
 
と言った。クラリスがそれを訳すと、彼もまた何かを笑いながら言った。クラリスが訳してくれた。
 
    "If you marry him and live in Japan, he doesn't have to use a gun."
 
だそうだ。要は、ベナンは平和だということだ。
 
 
③【辛いことや大変なことはどんなこと?】
 実は、一度クラリスの前で号泣するほど辛かったことがあった。海外に住んで、思ったより言語や食べ物、水は大して問題では無い。病気は辛かったが、治る見込みがあったので、これもそこまで苦ではなかった。では、何が一番辛いかというと、「生活の全てを誰かに頼らないと生きていけない」ということである。日本と違って安定した収入があるわけではないので、時にクラリスに立て替えてもらうこともある。そして、電車やバスもないので、どこに出かけるにしてもクラリスや他の人の助けが必要なのだ。
 それはもちろんありがたいことではあるが、言い方を変えると、自分1人では何も出来ず、選択肢も無いのだ。自分がどこかに行きたい、と思っても、1人では行けず誰かにお願いしなくては行けない。「この人がこの日だったら空いている」と言われれば、そこに合わせる以外の選択肢が無かった。その人の都合に合わせなくてはならないことが嫌だというよりかは、合わせてもらっていることが申し訳ないのと、お願いしなくては自分には何も出来ないという不甲斐なさで辛いのだ。クラリスや助けてくれる人がいないと自分は生きられない、と思うと情けなくて辛いのだ。そして、万が一この人たちに嫌われたら私はどうなるんだろう、と考えると恐ろしくて辛いのだ。さらに、この生活は数ヶ月で変わっていくものではない。私が現地の人とコミュニケーションが取れるようになったり、一人で生きていけるようになるまでは誰かに頼っていかねばならない。自立したいという気持ちはあるのに、まだ現実的には無理であることが辛いのだ。もちろん今でもこの辛さはある。
 日本にいたときは、全てのスケジュールを自分で決めることが出来た。どこに行くにしても、どう行くにしても、何をするにしても、全て自分の好きなように出来た。元々、何でも自分でやりたいことをやりたいと思っていて、自立したくて家も出て、ますます我が道を行くタイプになった私には、この真逆の生活が辛かった。こう見えて、繊細な一面もあるのだ。
 なぜかあるとき、プツンと何かが切れて、クラリスの前で号泣してしまったのだ。クラリスは私を抱きしめながら私に、私の要望をしっかりと言うことと、それを踏まえてクラリスが解決策を考える、2人にとって一番ベストな方法を考えよう、ということを言ってくれた。これ以降、クラリスに「〜に行きたい」と言えば、複数の案を出してくれて、私にとってどのプランが最も良いかを選ばせてくれるようになった。
 
④【日本にはいつ帰るの?ホームシックは?】
 結論から言うと、日本に帰る時期は決めていない。一時帰国は最低でも1年に1回はしたいと思っているが、最終的に完全に日本に引き上げるのはいつになるか分からない。元々ベナンに来たのだってほぼ無計画であったし、アフリカという土地柄、どうせそんな計画を立てたところで上手くいかない。時期ではなく、感覚的に『あ、もう帰りたい。』と思えば帰る。日本が恋しくなったかと言われると、あまり思わないが、家族や友人、元同僚の先生方や生徒たちや卒業生たちは恋しいし、会いたい。こっちにいると、私の近況はブログなりで皆が知ってくれるが、相手の近況を知ることがなかなか出来ない。時差や電波の悪さゆえに、長々とは会話も出来ない。会って前と同じように話すことが一番の楽しみである。そしてそこに、大好物のしゃぶしゃぶか焼肉か寿司か刺身か天ぷらがあると尚良い。あと地味にラーメンが食べたい。そして私のベッドの半分近くをムーミンで埋め尽くして死ぬほどムーミンをむぎゅむぎゅしながら眠りたい。
 
⑤【国際結婚に興味はある?恋愛は?】
 この質問を今日の大トリにしたのは、この質問が一番多いからである。結論から言うと、国際結婚に特に興味は無い。どちらかと言うと、普段日常会話や仕事では英語を使っているので、プライベートのときくらいは日本語を使いたいから、恋愛や結婚は日本人とする方が楽だと思っている。しかし、国籍問わず、好きになるときは好きになると思っているので、「外国人やアフリカ人と恋愛や結婚がしたい」とは思わず、「好きになった人が外国人やアフリカ人ならばその人と恋愛を楽しむし、もしかしたらその先に結婚があるかもしれない」と思っている。ちなみに、小学校のモテ期以降、中学校から高校に行くにつれて、恋愛というものが途端に面倒臭くなり、それ以降はほぼ氷河期であった。数えてみるのに片手すら使わなかった。元々、私は人を好きになるのにすごく時間がかかる。そして、1度好きになるとすごく長い。だから恋愛周期も余裕で7〜8年くらいになる。別に特に過去にひどい失恋をしたわけでは無いが、恋愛下手だし人と感性が違うようなので、どうせ好きな人とは上手くいかないと思っている。
 感性が違う、と言うのは、例えば、世の女性は、夜景を見に連れて行ってもらったり、ブランド物の何かをもらうと、「わあー💖」となるのだろうが、私は夜景には全く興味が無いし、ブランドの物なら、ムーミンのものの方が嬉しい。また、彼氏が出来たとしても、その人に自分に尽くしてほしいとか、尽くしてあげたいとかも全く思わない。お互いに仕事なり趣味なり好きなことに全力を尽くして、余力があれば一緒にいるくらいがちょうど良い。ひどい女、と思われるかもしれないが、自分にとっては、「余力があれば一緒にいる」とはだいぶその人のことが好きであるということだと思う。誕生日も記念日も必ずしも一緒にいる必要も無いし、彼氏に何かプレゼントを要求しようとも思わない。デートをするのが義務、などと思い始めたら自分の人生を楽しめないので、まずは自分を一番大事にしたい。自分の人生を一番大事にしている私を好きだと思ってくれる人がいたらいいな、と思っているが、無理だろうなとも思っているので諦めているに近い。さらに、面倒臭いことは嫌いなので、私のことを好きなら「好き」、嫌いなら「嫌い」、浮気したなら「浮気した」、別れたいなら「別れたい」、とはっきり言ってくれる人が良い。曖昧な人や言い訳をして逃げる人は嫌いだ。そう考えると英語話者の方が楽な気もするが。何れにしても、どうせ男と女なんて分かり合えないので、さっさと言葉にしてお互いの時間を無駄にしない付き合いがしたい。
 また、この質問以前に、『なんで結婚に興味が無いの?』とも言われたが、誰もそんなことは言っていない。なぜか私はこのようなキャラゆえか、「結婚願望が無い」と思われているのだが、結婚願望は今は無いだけで、いつかはしたい。あるいは、もう今すぐ結婚しても良い、と思える人がいれば、文字通り今すぐ結婚しても良い。また、子どもも欲しいとは思っている。ただし、血の繋がったという意味で自分の子どもを持つことにこだわりはない。出産という経験もしてみたいが、出来なかったら出来なかったで、孤児を引き取ったり、私のことを「ママ」と思ってくれる子がいれば、喜んでその子と家族になりたい。このような私に共感してくれる人がいれば、恋愛も結婚もしたい。あと、肝心なことだが、結婚指輪はブランドものではなく、ムーミンが刻印されている結婚指輪でないとダメだ。この指輪が発売されてから、0だった私の結婚願望が100になったのだ。数十万する要らないものをくれるくらいなら、どれだけ安価でも私が一番に欲しいものをくれる人がいい。そんな人がいればいいなと思いつつ、しかし、面倒臭いことは嫌いなので、そういう人を探すことに時間は割かない。これが私の恋愛・結婚観である。
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 今日は特に多かった5つの質問に対して自分なりに答えてみた。他にもたくさんいただいているのだが、また別の機会に載せられたらと思う。