【大事なお知らせ】と再び Primary school での英語の授業と校長先生とのランチ会

読者の皆様
 
 【大事なお知らせ】をさせていただきます。お知らせ、と言いますか、ブログを見て下さっている全ての皆様にお願いがございます。
 私とクラリスは、10月25日(金)より、クラウドファンディングを始めます。クラウドファンディングをご存知でない方のために簡単にご説明しますと、ネット上での募金活動です。兼ねてより、ここベナンには経済的な理由で学校に行くことが出来ない子どもたちがいることは何度か記して参りました。私とクラリスが住む地域にも、数え切れないほどいます。この子たちが学校に行ける手はずを整えるために、クラリスクラウドファンディングに挑戦することに決めました。
 正直に言いますと、「助けたい」とか「彼らのために」という思いは全くありません。自分が、こんな世界がイヤなんです。こんな不平等のある世界を私が受け入れることが出来ないのです。ベナンの子どもたちにだって教育を受ける権利があるのに、それが与えられていないことを、私はどうしても見過ごすことが出来ません。エゴと思われるかもしれませんが、今の私には「助けたい」など上から目線で物を言えるほどの力も無いのです。こんな動機でも賛同してくださる方は、ぜひご協力をお願いいたします。
 もう1つ正直に言いますと、色々事情があって期間が1ヶ月しかありません。そしてその1ヶ月で43万円を集めなくてはなりません。オールオアナッシングのため、1円でも不足をすると、私たちは1円たりとも受け取ることが出来ません。はっきり言って非常に厳しい状況です。どうか、どうか、皆様のご協力をお願いいたします。25日に公式に発表されましたら、またここにもクラウドファンディングのページを貼ります。それまで今しばらくお待ちください。なお、このご案内も後ほど私が貼るリンクも、どなたにでも共有していただいて構いません。どうぞ広めていただけますと幸いです。
 
 
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10月17日、今日は先週ウィルと教えに行った学校に再び行くことになっている。前回が凄まじく楽しかったのもあるし、校長先生や子どもたちがとても歓迎してくれたのがとても嬉しかったのだ。前回遅刻したことを反省して、今日は前回より20分前に出た。

 再びクラリスにバイクタクシーをつかまえてもらい、行き先と値段の交渉をしてもらおうとしたのだが、どういうわけか、いつもすぐにつかまるバイクタクシーが全く通らない。今までもごく稀に運悪くこういうタイミングにあたってしまったことはあるが、どうして急いでいるときに限ってこうなるのか。しかも、つかまえられたと思ったら「そんなに遠くまでは行けない」という理由で断られたり、値段が高過ぎたりで、とにかく時間がかかった。ようやく交渉に成功したバイクタクシーは、最初こちらの要求より少し高めの値段を言い渡した。しかし、私が硬貨を持ち合わせていないからその値段では乗れないということをクラリスに伝えてもらったところ、何とこちらの要求した値段で行ってくれることになった。しかも、片言ではあるが、英語が通じるドライバーであった。
 結局前回とそんなに変わらない時間に到着してしまったが、校長先生はまたもやハイテンションで私を出迎えてくれた。そしてまた授業中であろうに、教室から子どもたちと先生たちが手を振って出迎えてくれた。
 先週と同じ順番で教室に入った。最初のアクティビティがダンスであることは言うまでもない。また踊り狂った後に、英語の授業に入った。先週と違う点は、ウィルがパソコンを持ってきていることだ。アルファベットの歌を映像を見ながら歌うのだが、文字と音を一体化させるためにちょうど良い。しかも子ども用なので映像もとても可愛らしい。スクリーンなどは無いので、机に置いて、みんなが寄せ集まって見ていた。いや、見ていただけでなく、最初から歌おうと試みていた。日本でもおなじみのアルファベットの歌である。歌うのは初めてということだが、どの学年の子も一通りアルファベットは教えているので、あとはリズムに合わせるだけなのだが、この辺りがアフリカ人と言うのだろうか。リズムを掴めばもう口も体も勝手に動いているようであった。

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アルファベットの歌を聞きながら映像をながめる子どもたち。

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アルファベットの歌を歌っている子どもたち。
 そして、今日もウィルは無茶振りをしまくった。前回もそうであったが、電話が鳴ると「じゃ、あとは頼んだ」と言わんばかりに私に託していく。おかげさまで子どもたちの前に立つ時間が多く出来たのは良かったのだが。しかも、最後の授業に至っては、そもそも私が遅刻をしたから仕方ないのだが、
 
    "Can you teach Primary 5? It's time to start. When I have finished this class, I'll join you."
 
と言った。つまり、先に Primary 5 で授業をしておけということだ。ついにソロデビューした。Primary 5 は10歳くらいの子どもたちがいるクラスだ。アルファベットどころか、簡単な挨拶や単語も知っている。私が入るや否や、
 
    "Goooooood mooooorniiiiiing, Maaaakiiii."
 
を地鳴りのような声で言ってくれた。名前を覚えていてくれたのはとても嬉しい。そして、挨拶をしてくれたこともとても嬉しい。しかし、これを全クラスでやられるので、最後のクラスになると若干耳は痛くなっていた。
 このクラスでの今日のレッスンは、アルファベットと関連づけて単語を覚えていくことだ。しかし、高学年なので、ただ単に "A for apple" を言えるようにするだけでなく、その単語はフランス語では何というかまでを教えるのだそうだ。私はフランス語は分からないため、それはウィルが戻ってきたら任せることにした。最初に、"A for apple"、"B for banana" を前回と同じように繰り返した。もうだいぶ分かってきたようだ。さすが高学年。席順で1人1人に答えさせてもまずまずの理解度であった。
 ウィルはまだ入って来ない。フランス語での確認は出来ないため、急遽別のアクティビティを入れた。一応高学年なので、試しに文字を理解しているかを試してみることにした。こういうアクティビティをさっと思いつく辺り、まだ先生としての勘は鈍っていないのか(え、先生として当たり前か?)。ちょっとしたクイズ形式にしようと思い、
 
    "Close your eyes."
 
と言って、目を閉じさせた。英語は分かっていないが、ジェスチャーをつけて言ったので、子どもたちはさっと目を閉じた。すると、日本でもよくあることだが、閉じたふりをして薄眼を開けて見ている子は必ずいる。そして、手で目を覆っているように見せかけて、指の隙間からのぞいている子も必ずいる。大概が男子である。それを女子が指摘している。その男子たちに近づいて目を閉じるよう再び指示すると、喜んで閉じる。どこの国でも同じだな、と思った。
 どんなクイズにしたかというと、"_ pple" のように、最初のアルファベットを隠して、答えさせるというものだ。私が黒板に書き、
 
    "Open your eyes and look at the black board. What's missing?" 
 
と言うと、子どもたちは一斉にキラキラした目で黒板を見たのち、一瞬面をくらい、しかしすぐに何が求められているかが分かって、一斉に手を挙げた。この様子がまた超絶に可愛いのである。どの学年もだが、ベナンの子どもたちの「当ててほしいアピール」は爆笑するほど個性的だ。踊りながらアピールする子もいるし、もうもはや前に出て来ちゃった子もいる。高学年のため、そこそこ体も大きいからか、身を乗り出すと完全にはみ出て押し合いながら懸命にアピールをしている。そしてさらに面白いのが、自信満々でアピールしているのに、いざ当てると全然違うアルファベットを答えてしまったりする。しかし、『あれ?』という顔をするだけで、全く気にしていない。落ち込むことなくその後もガンガン手を挙げている。
 このアクティビティをやっている最中に気がついたのだが、いつの間にか校長先生がいた。そして、私の授業の様子をバシバシ写真に撮っていた。いつ入って来たのかも気づかなかったくらい、夢中で授業をしていた辺り、まだ先生としてのアドレナリンはちゃんと出ているということか(え、先生として当たり前か?)。
 その後、アルファベットを2つ抜いてみても、3つ抜いてみても、子どもたちはテンションを高く保ったまま、ひたすら楽しんでやってくれた。後半になると、「当ててほしいアピール」をしながら私の名前を連呼することが流行りだし、最終的には全員が、
 
    "Ma-ki! Ma-ki! Ma-ki!"
 
と連呼しながらアピールをしていた。授業の本当に終盤の方でようやくウィルが入って来た。そして、英語とフランス語で単語をマッチさせて、この日の授業は終わった。子どもたちがウィルに何かをせがんでいた。ウィルはスピーカーを取り出したので、おそらくダンスで締めくくりたいということだろう。ベナンで有名な曲なのか、tele tele という曲がかかると一斉に子どもたちは熱狂した。他の学年はとうに午前中の授業が終わって、帰り始めていたのだが、この曲が聞こえたからだろうか、それまでは一応遠慮して教室の外から眺めていた子どもたち、しかも低学年の子どもたちがワーッと入って来た。何なら先生たちも入って来た。

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最初は教室の外から眺めていた子どもたち、この後一斉に飛び込んできた。
 教室がナイトクラブのようになり、皆が踊り始めた。小さい子どもたちも華麗なダンスを披露している。群衆をかき分けて真ん中に躍り出て来た男の子もいた。私はダンスとなると公開処刑にあうため、ひたすらカメラマンに徹していた。2曲ほど踊ったところで、ようやくお開きとなった。先週と同じように子どもたちはいつまでも手を振ってくれていた。
  終わった後、校長先生がご飯をご馳走してくださるというので、校長先生と、彼の婚約者の女性と、ウィルと私とで車に乗り込み、レストランに向かうことにした。車の中でベナン料理について聞かれた。どんなものを食べたか、何が好きか、何が食べれないか。私がお肉が好きで、しかしあまり食べていないことを知るや否や、豚肉を食べに行こうと言ってくれた。ベナンでの豚肉料理は大抵決まっていて、カリカリに揚げてそれを胡椒や玉ねぎと一緒に食べるのだ。これがまたとても美味しい。日本の肉の柔らかさに慣れていた私でも、たまには噛み応えのある肉も良いと思った。さらに、肉の入ったシチューのようなものも出て来た。辛いが、食べられないほどではない。程よく美味しかった。

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上が豚肉で下が胡椒。ベナン人は手で豚肉を掴み、胡椒や玉ねぎを巻くようにして食べる。

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この料理の名前をクラリスに聞いたら、Sauce with meat と言われた。
 校長先生は先週の土曜日、つまり私が初めて彼の学校に行ってから2日後に、保護者と話す機会があったそうだ。そこで、全ての親が私のことを話していたそうだ。子どもから聞いたのだと言う。子どもからしても、親からしても、日本人と触れ合うということはとても嬉しいことなのだそうだ。さらに、英語を教えてもらったということを子どもがすごく楽しそうに話していたので、親たちもとても喜んでいたそうだ。毎年、この学校ではクリスマスに大きなイベントをやるらしいのだが、親たちが是非そこに私を呼んで、会わせてほしいとまで言ってくださっていたらしい。嬉しすぎて、涙が出そうであった。私にとって、子どもが授業の内容や私のことを親に話すということはとても嬉しいことだ。家に帰っても覚えていたということなのだから。残念ながら、恐らく12月は日本で過ごすことになるため、クリスマスのイベントには参加出来そうにないが、この学校とはずっと繋がりを持っていたいなと思う。

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左が校長先生、真ん中が私、右がウィル。
 ちゃっかりご馳走になり、校長先生にお礼を言い、学校を後にした。また、ウィルが途中までバイクに乗せてくれて、その後はバイクタクシーをつかまえて家に戻った。今日もしっかりと疲れた。往復がやはり大変ではあるが、学校に着いてしまえばとても楽しい。またエネルギーをもらい、充実した1日であった。