最後のゲストと引越しの準備が全然進まない

 1月24日(金)、今日は私の家に最後のゲストが泊まりに来ることになっている。高校生のときからの友達 M だ。M は地方に住んでいるのだが、私が一時帰国をすることを知って、わざわざ東京に遊びに来てくれたのだ。

 M とは、これまで散々色々なところに旅をしてきた。冬は北海道、夏は沖縄が定番で、しかも人に『どこそれ!?』と言われるところばかりだ。日本の最南端、最西端、最北端、最東端も彼女とすでに制覇している。私がベナンに渡る前も沖縄に行ってきた。毎冬、毎夏恒例の旅が出来なくなってしまったが、M はこうして東京に会いに来てくれた。幸か不幸か、引越しを4日後に控えているくせにちっとも準備が進んでいないため、M を泊めるのに全く支障は無かった。
 出稼ぎを終えた後、私の最寄駅で M と待ち合わせをした。スーパーで買い物をして、我が家に向かった。
 
 『引越しの準備が進んでいないんだよね、あはははは。』
 
と、前もって言っておいたのだが、M は、
 
 『全然進んでないじゃん。どうすんの?間に合うの?』
 
と真顔で聞いてきた。ぎくり。だからそれは今一番私が焦っていることなのである。
 
 『人泊めてる場合じゃなくない?これ絶対間に合わないでしょ。』
 
とさらに追い討ちをかけてきた。M とは付き合いが長いので、もうお互い何の遠慮もない。言いたいことはズケズケと言う。しかも M はミニマリストでもあるので、私の部屋と違って、ムーミングッズなどもない。彼女の部屋ならば数日で引越し出来そうだが、このムーミンに溢れた部屋を片付けるのは確かに時間がかかる。分かっているのだ、黄信号であることくらい。だから、この一言は今の私には相当ダメージが強い。
 少々お腹を下しているという M に遠慮なく、私はまたベナン料理を振る舞った。メニューはここ最近我が家に来てくれた人に出したものと全く同じであるので割愛する。お腹を下している、というわりに M はよく食べていた。そして、これはいつもと変わらないがよく飲んでいた。私はほぼ酒を飲まないのだが、M は相当強い。だから2人でご飯を食べていると、どうしても途中から温度差が出る。私はシラフなので、しゃべっていた内容は全て覚えている。でも M は大抵覚えていない。今回もそうであった。結構私は真面目な話をしていたのに、後日そのことを話したら、覚えていなかった。あろうことか、また一から説明させられた。
 一通り喋り尽くしたところで、夜中の2時になったので、そろそろ寝ようということになった。M は、
 
 『ベッドにダイブしてもいい?』
 
と一応許可を取った上でベッドにダイブし、結局そのままゴソゴソと布団に潜って寝始めたので、ホストの私が下で寝ることになった。ちょっと恨みを込めて、一つ暴露してやろうと思う。寝始めようとした M に、
 
 『私がベナン行って寂しかった?』
 
と聞いてみた。すると、
 
 『何だその質問!…うん、ちょっとね。』
 
と言っていた。遠距離恋愛しているカップルみたいになっていた。翌日、M は私が売りさばこうとしている大量の服を袋に詰めるのを手伝ってくれた。そして、昼ご飯を食べに出かけ、夕方から私は出稼ぎに向かうため、M と別れた。またいつか北海道でも沖縄でも、M  と一緒に旅が出来ればいいなと思う。ただし、4つの端っこをすでに制覇し、大方マイナーな場所には行ってきたので、次に行く場所を決めるのが最難関である。
 家に帰って、パッキングに取り掛かった。M の言う通り、本当に進んでいない。果たして私はあと4日後にこの家を明け渡すことが出来るのか。乞うご期待である。

f:id:MakiBenin:20200211060426j:plain

M と。「顔ボカさないからね」と嘘をついたらすごいキメ顔で写ってくれた。