プロジェクト前日

 10月4日(日)、プロジェクト前日だ。教材や教科書は全てバッグに詰めて、そのまま子どもたちに渡すことが出来るように、準備をしなくてはならない。朝9時に、クラリスの友達も手伝いに来てくれた。

 Primary 1 から順に、教材やら教科書やら制服の布を置いていった。日本との大きな違いは、ベナンでは、教科書といったらフランス語の教科書と算数の教科書しか無いようだ。日本だと、全ての教科書に最低1冊はあって、そこからさらに副読本やら資料集やらがあって、高校生ともなるとゆうに30冊は超えていそうだ。どっちが良いかという話ではないが、日本はありすぎる気もする。そして、使われていない教科書もある。
 教材に関しては、それほど大差ない。鉛筆や消しゴム、定規、コンパス、糊は同じだ。ベナンでは、クレヨンも付け加える。また、日本でいうボールペンもだ。青と赤と緑と黒のボールペンだ。ベナンでは、正式な文書ではよく青のボールペンを使うし、子どもたちも青のボールペンでノートを取ることが多い。
 また、ノートに関しても日本とやや異なる。ベナンでは、ノートの大きさは A5 サイズだ。また、興味深いのは、ベナン人は notebook のことを copybook と呼ぶ。私は copybook という言い方はベナンで初めて聞いたのだが、調べてみると、まさに copy するためのノートのことで、日本だと習字帳のことを指すようだ。表紙が少し柔らかいからか、カバーもつけた。
 並べてみると、カラフルで新品で、見ているこっちもワクワクしてきた。教材は全て支援者の方のお金で買ったり、ベナン国内の団体から寄贈されたものだ。本当に支援の力は大きいなと思う。

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 また、Primary 6 の子たちにはペンケースもついている。このペンケースは、私の友人の旦那さんのお母様が無償で作ってくださったものだ。ある日、友人が私の活動をお母様に話したところ、ベナンの子どもたちに使ってもらいたいということで、大量に作ってくださったのだ。趣味で裁縫をやっていらっしゃるとのことだが、明らかにこのクオリティ、趣味のレベルではなく、プロのレベルだ。ほころびも一つも無いし、チャックも頑丈だ。しかも、このペンケースを作るために布を購入したのではなく、元々あった布などを再利用して作ったとのことだから、エコでもある。数に限りがあるので、ちょうど Primary 6 の子たちの人数にちょうど良かったので、Primary 6 の子たちにあげることにした。

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Primary 6 のペンケース付きセット。
 教材をまとめ終わったら、それをバッグに詰めていった。水色のバッグについては、すでにこの Blog でも説明したが、紫色のナップサックは数日前に急遽買い足したものだ。個人的にお金をいただいたり、クラリスの友人やベナンの団体から教材を大量にいただくことが続いたため、バッグが足りなくなったのだ。
 ところが、夜になってトラブルが発生した。買い足した分を含めても27個ほど足りなかった。完全に私たちのカウントミスである。しかし、時すでに遅しで、今からバッグを買いに行く時間もお金もない。仕方なく、足りない分については、クリアファイルのようなものを渡すことにした。閉じることが出来るタイプのものであるが、マチは無いので、ものをそんなに多く入れることは出来ない。バッグを渡すことが出来ない子どもたちはがっかりしてしまうだろう。

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全て詰め終わった後のバッグの山。

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作業中のクラリスクラリスの友達。

 そのようなトラブルもあったが、日付が変わる前に何とか終えた。子どもたちの名前が書かれたリストや他の書類やらに目を通していたクラリスが、その書類を閉じるものが欲しいと言った。ホッチキスがあれば一番良さそうだが、そんなものはない。仕方なく、不恰好だが洗濯バサミでとめていた。しかし、ふと、私が以前勤めていた学校の校長先生が、何かに役立てれば、と言って大量にクリップをくださったことを思い出した。きっと何かの役に立つと思って、ベナンに持って来たのだ。それを使うことにした。クラリスは、初めて見たのか最初は使い方が分からなかったようだが、ちょうど良いサイズだったようで気に入っていた。
 教材やバッグ、教科書や布など、目立つものはもちろんご支援いただいた全ての皆様のおかげではあるが、善意で無償で作ってくださったペンケースや、書類や袋を閉じるクリップまでご支援いただいたものだと思うと、本当にこのプロジェクトは、私でもクラリスでもなくて、色々な人に支えられて成立しているものだと痛感した。
 明日は朝が早い。緊張もするが、頼むから雨だけは降りませんように。

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クリップの活用場所。