【お待たせしました】プロジェクト2日目
10月7日(水)、プロジェクト2日目。今日は、Akassato に向かう。Akassato は、Cove に比べて都市部寄りである。私たちの住む町からも近い。今日は、
昨日は中休みなんかではなく、がっつりまた作業をした。昨日も大変であった。
車に乗り込み、またカメラマンとジャーナリストを拾った。 今日は、クラリスのお姉さんにも手伝ってもらうのだ。車で 30分ほどで学校に到着した。例によって私は応援係となって、 荷物を教室に運び入れるのはベナン人に任せることにした。
ここでは、水へのアクセスがあるのか、 学校前に手洗い場が設置されていた。手洗い場といっても、 バケツに水を汲んだだけの簡易的なものではある。 私が手を洗おうとすると、先生が子どもたちに何かを命じた。 すぐに子どもたちはどこかへ走り出した。先生は、 私に少し待つように言った。 しばらくして子どもたちがバケツを頭に乗せて戻ってきた。 水が足りなくて足しに行っていたようだ。また別の子どもたちは、 教室に続く階段を掃き始めた。そして、 足された水で手を洗わせてもらい、教室に入った。
1時間ほど待って、全ての子どもたちが揃った。 今日も親を呼んでいる。そして、また授与式が行われた。
ここでは、比較的マスクをしている子どもが多く見受けられた。 先生たちもだ。まず最初に、 先生たちと私たちとで記念撮影をした。その際、 日本で大量にもらった鉛筆や消しゴムが入った大きな缶を校長先生 に手渡した。一応子どもたち1人1人にも渡しているが、 当然無くしてしまったり、忘れてしまったり、 使い切る子どももいるだろう。 そんなときのために使ってほしいと思い、渡したのだ。 校長先生や他の先生たちもとても喜んでくれた。
授与式では、 また1つ1つ支援者の方を思い浮かべながら手渡していった。 本当に大きなプロジェクトとなった。前回の Cove では97名の子どもたちを支援したが、今回は、 今日ここには残念ながら来ていないが、 後日手渡すことになっている子どもたちを含めても、 100名を超える。Cove と合わせて、210名の子どもたちを支援したことになる。自分たちが想像した以上に大きなプロジェクトになって、 嬉しい反面、少し戸惑いもあった。今日は、 何と5つのメディアの取材も来ているのだ。 どうりでクラリスが張り切っているわけだ。 何やら見慣れないサンダルを履いていると思ったら、 昨日買ってきたらしい。 ヒールが高くて見ているこっちが危なっかしい。
ちょっと面白かったのだが、 やはり取材が入っていたり1人1人良いカメラで撮られていること に緊張があったのだろうか。子どもたちは、名前を呼ばれると真顔でやってきて、真顔でカメラを見つめ、 真顔でそそくさと帰り、自分の席に着くなり、「はあーっ」 と大きくため息をついて他の子どもたちと笑い合っていたことだ。 中には緊張のあまりか、 スタスタとやってきてバッグを受け取って、 カメラを見ることなくスタスタと戻ろうとしている子もいた。 皆が引き止めてようやく「あっしまった」 と言わんばかりに戻ってぎこちない笑顔を浮かべてカメラに顔を向 けていた。こういうところを見ると、 つくづく日本の子どもと変わらないと思う。
午前中いっぱい使って、授与式を終えた。記念写真も終えて、 車に乗り込んだ。子どもたちは、車が発車してもついてきた。 言葉が通じないと分かっているのに、外国人の私に向かって、 精一杯手を振っている。 君たちにはたくさん伝えたいことがあった。 現地語もフランス語も分からなくてごめんね。 ここに書いたところで全く意味はないが、 せめて手を振りながら走り寄ってくれた子どもたちを見ながら、 私が思っていたことを記しておこうと思う。
子どもたちへ
Cove の子たちも、Akassato の子たちも、 全てがやベナン国内の団体からのもの、また日本の支援者からのもの、私やクラリスの知人からのものであることを、 どれくらい分かってくれているのだろうか。子どもだから、 きっとまだそれがどれほど大きな助けであったかは分からないかも しれない。そして、私たちが手渡してしまうと、 どうしても私たちが全てをやったように見えてしまうが、 全くもってそうではない。しかも、この中で唯一の外国人、 それも日本人というだけで、 何だか私が出資者のようにも見えてしまうけど、それも違う。 全ては支援者と物資を寄付してくれた人がやったことだ。 恩着せがましいことを言いたいのではないが、 たくさんの人からの善意でこのプロジェクトが成り立っていること を知ってほしい。
それからもう1つ。日本は、君たちから見ればそりゃ裕福な国だろう。しかし、 お金を持っているから寄付をしたんじゃない。 このプロジェクトを支えてくれた人は、 まず私とクラリスを信じて、 そしてベナンの未来に期待をしているから大金を出してくれたのである。 ぶっちゃけ言うと、日本人も今生活が厳しい。 コロナのせいで皆色々大変な思いをしている。それでも、 誰一人として寄付したお金を返してほしいとは言わなかった。 誰もが、このプロジェクトに貢献したことを嬉しく思っているし、実行されることを楽しみにしていた。 君たちには、 感謝をしてほしいとか恩返しをしてほしいと言っているのではなく 、忘れてほしくないだけだ。君たちと同じくベナン人と、 遠い国の見たこともない人たちが君たちの未来を照らしてくれたことを。
君たちが、ベナンの未来を担うのだ。 クラリスのようにしっかりと勉強をして、 自分が選びたい道を自分で選んでほしい。 男の子女の子関係無くだ。知識と知恵は、新たな経験を生む。 新たな経験が、新たな道を切り開く。自分の人生において、 先頭に立つのは、君たち自身でなければならない。そして、 それが出来るようになって初めて、自立と自由を得る。すなわち、 人生を楽しむことが出来る。
君たちが、 心から自分の人生に誇りを持つことが出来ますように。ベナンの未来が明るい光に照らされ続けていますように。