☆☆目標金額達成いたしました☆☆と自立と研修と私のスマホが…とビジネス

読者の皆様

 
 
 10月25日から始まりました、私とクラリスの共同プロジェクトであるクラウドファンディングは、日本時間11月6日に無事に43万円に達しました!!ご報告が遅くなりまして、申し訳ありません。こんなときに限って1日体がふさがっていたり、電波の入りも悪いという状況でした。
 朝起きたときにLINEで皆様から「おめでとう」というメッセージがたくさん入っていて、最初はピンと来なかったのですが、Readyfor から届いたメールでようやくその意味が分かりました。クラリスは朝からガッツポーズを何度もして、おいおいと泣いておりました。
 何度お礼を言っても本当に足りません。しかし、今後もまだまだやるべきことがあるため、まずは子どもたちが無事に学校に行けるようになるために、準備を進めて参ります。予定では、1月中旬に実際に我々の手元にお金が届きます。その後、教材や制服の発注をし、学校や市との交渉を経て、子どもたちは9月に入学をする予定です。少しお待たせをしてしまいますが、どうぞ最後まで見守っていただけますと幸いです。
 なお、すでに達成していながらこのようなことも言うのもおこがましいものですが、11月25日までは予定通り募金を続けて参ります。お金がさらに集まれば、さらに多くの子どもを学校に行かせることが出来ます。引き続き、情報のシェアや、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 台風や大雨などで被害にあわれている方もいらっしゃる中でのお願いとなり、心苦しさも感じております。また、学校関係にお勤めの方は、文化祭などの行事シーズンと重なりました。色々とタイミングが悪く、申し訳ありません。
 
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 11月6日(水)、早起きをして洗濯を済ませ、仕事に向かった。昨日と今日は、私が勤めるところではなく、ベナンの国立大学アボメ・カラビ大学で、とあるアメリカ人の講義を受けることになっているためそこに向かった。そもそも、私は恐らく Blog 上で自分が勤めることになる学校の名前を書いていなかった気がする。ということで、今お知らせすると、van Duyse Entrepreneurial Leadership Institute というところで、通称 VELI (ベリ)である。大学生くらいの子たちが通うビジネススクールのようなところである。ベナンでは、若くしてビジネスを志す人が多い。街を歩いていても、多くの若者が何かを売って歩いている。ベリでは、ビジネスに必要な英語のスキルを身につける。そのベリが、アボメ・カラビ大学に部分的に移行しているのだ。ベリの建物は残っているが、授業をベリとアボメ・カラビ大学の2つで展開することになるそうだ。アボメ・カラビ大学の方が圧倒的に学生の数も多いし、キャンパスも広い。そのアボメ・カラビ大学で昨日と今日は、あるオンラインビジネスの 若き CEO をお招きして特別講義をするということで、私も参加を許された。
 私に専用のバイクタクシーがついたことは兼ねてからお知らせしている通りで、行き先が変わっても「◯時に△で」と言えば、来てくれるようになった。先日の記事でも記したが、このドライバーから、毎日のように同じところに行くのならば減額をするという申し出があった。とてもありがたいお話ではあるが、念のためクラリスに相談をしてみたところ、意外にもやや難色を示した。彼女が気に入らなかったのは、料金を前払いにするという点である。クラリス曰く、『お金を先に受け取って、その後来なくなったらどうするのか?』ということだった。心配性のクラリスならそう考えるのは無理もない。
 そもそも、ドライバーが料金をまとめて受け取りたがっているのには、2つ理由があると思う。1つは、ベナンでは人の数とお金の流通が見合っておらず、いつもどこかで不足している。大型のスーパーですら時折お釣りが無いと言われる。ましてや、人々の足となるバイクタクシーは、短距離がメインなので小銭が命である。そしてバイクタクシーも頻繁に客を乗せるものだから、時折小銭を切らしている。乗る側としても毎日小銭を用意するのは至難の技なのだ。ドライバーとしては、小銭を毎日用意しなくても、まとめて払ってくれれば良いと考えてくれたのだろう。2つ目の理由としては、ドライバーは間違いなく収入を得られるということだろう。しかし、クラリスとしてはやはりそこが気がかりだったようだ。結局、1ヶ月分を払うのはやはりリスキーということで、1週間ごとに払うことになった。ドライバーもそれで納得してくれた。
 ドライバーは、アボメ・カラビ大学もベリの場所も分かっているので、もはやクラリスに頼ることが無くなったのも嬉しい。早起きさせる必要もなく、1人で家を出られるようになった。帰りの場所と時間も指定すれば来てもらえるので、帰りも人に頼ることが無くなった。小さなことではあるが、自立に向かっていると思う。
 さて、研修の内容ではあるが、ざっくり言うとビジネスを志す者としての心得や、実践的にどのようにマーケティングをするのかとか、リサーチの取り方についてである。割と初心者向けであったため、私でも内容を理解することが出来た。
 ベナンアメリカ人を見るのもなかなか新鮮である。そして、ゴリゴリのアメリカンイングリッシュを聞くのも実に久しぶりであった。3ヶ月アフリカンイングリッシュに慣れていると、突如聞くアメリカンイングリッシュに戸惑ってしまった。彼にとってアボメ・カラビ大学での講義は今日が最終日だったので、学生たちがステージでベナンの伝統ダンスを披露していた。今ここには学生が800人近くはいる。そのほとんどが、まるでコンサート会場のように盛り上がっていた。そして、その途中で停電が起こるのもまたベナンらしくて面白い。

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学生たちの伝統ダンス。
 私は後方に座っていたのだが、学生たちが前のステージを見るために座席の上に立ったりしていたため、写真が撮れず諦めかけたそのときであった。私の近くにいた男子学生が、ジェスチャーで『撮ろうか?』と合図をして来た。彼は同じく後方にいたが、確かに前方にあまり立っている人がいないため隙間から撮れそうである。遠慮なくお願いした。すると彼は、私のスマホを持って、熱狂して前に押し寄せている学生たちを押しのけて前方に向かった。『おい、待て。』と思ったが、あっという間にいなくなった。まさか、そういうパターンか。撮ってあげると言って、実はそのまま盗んで逃げるつもりなのか。海外ではよくある手だ。ベナンではそういう目にあったことは一度も無いが、まさか今ここでそれが起ころうとしているのか。
 急いで追いかけようと思ったが、それも出来なかった。研修でお世話になっているクレオパトラさんは、ディレクターでもあるのでこういうゲストのおもてなしもしている。その彼女は今、アメリカ人御一行様とダンスを前方で見ている。そこに行く前に、彼女は荷物を全て私のところに置いていっているので、荷物から目を離すことも出来ない。ましてやこれほどの人がいる中、いくらベナンは治安がいいとは言え、貴重品が入っている荷物から目を離すことが出来るほど、まだ油断はしていない。
 荷物を見つつ、彼を追いかけた。顔は一瞬しか見ていないので、見つけても自信が無い。すでに外に出てしまっただろうか。とにかく、今全員がスマホで写メなりビデオなりを撮っているので、一人一人目を凝らして私のスマホを持っている人がいないかを確認した。いない…さらに前にいるのだろか、しかし、これ以上前に進むと荷物から目を離すことになる。仕方ない、一瞬だけ目を完全に離して、さらに人をかき分けて前方に進んだ。
 すると、前方、というかもはや専属のカメラマンですか?並みの近さで写メだかビデオだかを撮っている人がいた。あのカバンに見覚えがある。よく見ると、私のスマホを持っていた。何と彼は、本当にちゃんと写メだかビデオだかを撮ってくれていた。しかも、めちゃくちゃ至近距離で。途中、友達と思しき人が彼の肩を叩いて何か話しかけていた。彼は完全に無視をして写メだかビデオだかを熱心に撮り続けていた。そんなに一生懸命撮っていてくれていたのか。疑ってごめんよ。でも、それ、私のスマホでっせ。
 盗られたかと思って焦ったが、彼は本当にちゃんと撮ってくれていたようなので、安心して自分の席に戻った。しかし、ダンスが終わってもまだ彼は戻ってこない。再び不安になってもう一度行ってみると、今度はアメリカ人御一行様を一生懸命撮っていた。それはあまり要らないんだけどな、とは言わないでおいた。しかもそれ、私のスマホでっせ。
 全てが終わって、ようやく彼は戻って来てスマホもちゃんと返してくれた。そこで、撮った写真を送ってほしいと言われたので、WhatsApp の番号を交換していると、ワラワラと他の学生もやって来た。フランス語が分からないと言うと、皆一生懸命英語で話してくれた。その間、私のスマホはたらい回しにされ、色々な人に私の番号が出回った。おかげで今、もはや誰だか分からない人からのメッセージがひっきりなしに来て、Facebook も次から次に「友達申請」が来ている。そして、そのあと写真撮影会が始まった。ベナン人の写真撮影会は面白い。彼らは、自分のスマホでなくても、自分さえ写れば人のスマホでも撮りたがる。しかも、私がまだ他のカメラに視線を向けているときに横から撮って満足している。さらに、『写真撮ろうぜ撮ろうぜ!!』とすごくエネルギッシュに来て盛り上がっているのに、いざ撮ると、意外と真顔で写っている。今回は大丈夫であったが、最後に忘れてはいけないのが、高確率で指が入るかブレているかである。

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学生たちとの撮影会。
 写真撮影会を後方でしているとき、ベリのスタッフの人が私を迎えに来た。何やら急いでいる。クレオパトラさんの荷物も持って、急いで移動をしようと私を手招きした。学生たちとの連絡先の交換やら写真撮影会やらをしていた私を、そのスタッフは私の手を取って連れ出した。ちゃっかり手を繋がれた。そして群衆をかき分けかき分けようやく明るい外に出て、彼は何やらスマホを取り出して、こう言った。
 
    "I want to take a photo with you too."
 
もちろん急いで外に出たのは、出入口が1つしかない会場では800人近くがいる学生たちが押し寄せる前に出たかったのは分かるが、外に出て最初にしたいことが写真を撮ることとは。
 そのあと、ベリに戻って遅い昼ご飯を食べ、夕方からまた別の講義を聞いた。これが今回最後の講義である。最後ということで、CEO は学生たちのビジネスの話を主に聞いていた。個々の事例に、アドバイスをしていた。ベナン人の若者は実に志が高い。農家、IT 産業、車、航空、実に色々な業界でのビジネスを目指している。その多くが、日本をモデルとしてみなしていて、日本の情報を知りたがっていた。本当に、日本に憧れを持つ若者が多い。また、すでにビジネスを始めている若者も多い。講義が終わった後、私に自分が作った手作りのアクセサリーを見せてくれた人がいた。ピアスや小物、ポーチなどで、ちょうど一時帰国を控えている私には良いお土産となりそうだ。私もアフリカンなアクセサリーが欲しいと思っていて、じっくり見ていた。イヤリングが欲しかったのだが、残念ながら全てピアスであった。穴を開けたくないので、イヤリングは無いのかを聞いてみた。すると、アフリカでは女性が幼少期にピアスを開けることが普通なので、イヤリングは通常無いがどうにかして作ってみると言ってくれた。私は、無理をさせたくないから辞退しようとしたら、
 
    "My job is to create something that our customers want."
 
と言っていた。まだ20歳そこそこだろうに、しっかりビジネスをしていた。この子たちを教えることになるのか、と思うと一気にハードルが上がった。ベリの建物はこじんまりとしているものの、この日は講義を聞きに色んな人が来ていた。そしてここでもまた写真撮影会と連絡先の交換会が始まった。そして今は、私を中国人と勘違いした人から中国語でメッセージが送られている。
 ベナンでのアメリカ人による研修は、思ったより自分にも関連していることが多く、ためになった。正直、もっとちんぷんかんぷんだと思っていた。若き CEO は講義が終わった後も色々質問責めにあっていたが、どうにか少し空いたところを見計らって私も少し質問が出来た。若き CEO もまた、ベナンでまさか日本人に会うとは思わなかったそうだ。
 帰りの時間は運悪く土砂降りの雨にあい、しかも一本しかない主要道路で交通事故が起こったため、回り道をして帰った。ようやくクラウドファンディングの支援者の皆様にお礼のメールを打つことが出来た。ビジネスに興味が出て来たので、いつもは眠くなるビジネス書を読むことが、明日から楽しみになった。