新着情報【クラファン終了まであと4日】と先進国の先生が食べるもの

 10月25日(金)よりスタートいたしました、私とクラリスラウドファンディングは、多くの皆様のご支援のおかげさまで、11月6日(水)に目標金額であった43万円に達しました。心より感謝申し上げます。また、さらなるご支援のおかげさまで、現時点で、52万5千円にも達しております。本当に連日のご支援に、心より感謝申し上げます。
 皆様からのご支援をとてもありがたく思いながら、このようなお願いをすることも大変申し訳ありませんが、11月25日(月)までは募金を続けさせていただきます。最初の目標金額である43万円に達した今、11月25日(月)までにいただいたお金を全てこちらは受け取ることが出来、より多くの子どもたちを学校に行かせることが出来ます。私とクラリスの夢は「15人の子どもたちを学校に行かせること」ではなく、「1人でも多くの子どもたちを学校に行かせること」でございます。最初の目標金額に達してからも、多くの方にご支援いただきました。いただいたお金は、16人目以降の子どもたちの学費となります。あと4日、どうぞ皆様、引き続き、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。
 台風や大雨の被害にあわれた方もいる中で、このようなお願いをしてしまい、大変心苦しく思っております。また、学校関係にお勤めの方にとりましても、行事シーズンでお忙しいときと重なってしまい、大変申し訳ありません。
 本日は1点お知らせがございます。Readyfor のサイト内で、「新着情報」を更新しております。どうぞこちらも合わせてご覧ください。「青年海外協力隊の方とベナン人のお宅を訪問して ~Part2~」というタイトルでございます。
 
 
.........................................................................................................................................
 11月19日(水)、すっかり乾季に入ったベナンは、天気が良い日が続いている。いや、良すぎる。暑すぎる。洗濯物はしっかりと乾くが、部屋の中は蒸し風呂になり、扇風機なしでは生きていけない。事実、寒がりのクラリスがここ最近進んで扇風機をつけている。雨季のときは確かに涼しい、もしくは寒いときすらあったが、ここ数週間は毎日汗だくになっている。
 ところで、最近私の仕事場であるベリで1つ悩ましいことが起こっている。昼ご飯のことである。ベリのセキュリティを担当しているベナン人男性マニュアシが、毎日のように私が昼ご飯を買いに行くためにバイクを出してくれる。乾季になったとは言え、でこぼこの道には今だ水たまりがあり、歩いて昼ご飯を買いに行くことが出来ないのだ。彼はとても優しく、またゆっくり話せば英語も通じるので、頼りになるのだが、彼はセキュリティの他にも、色々やることがあるので割と忙しくしている。いつも私のことを気にかけてくれて、
 
    "Maki, do you want to buy food?"
 
と聞いてくれる。週2日ほどならば頼みたいが、さすがに毎日は頼みづらい。かと言って、夜のうちに買っておくと、虫が侵入する恐れもあるし、乾季中は湿気で食べ物も傷みやすい。朝買うには早すぎて店が開いていない。どこか、水たまりが無く、かつ歩いて買いに行けるところは無いのかと、彼にも、ベリの秘書の女性オポチュンにも聞いたのだが、2人揃って、そのようなところは無いと言った。
 ところが、今日、私が仕事中にとある女性がオポチュンにと、彼女の不在中に何やら食べ物を持って来た。おそらく、オポチュンが頼んだものを持ってきてくれたのだろう。皿に皿を被せて持って来たので、そう遠いところやって来たとは思えない。オポチュンが戻って来たときに、
 
    "Where did you buy it?"
 
と聞いてみた。オポチュンも、ゆっくり簡単な単語を使えば英語が通じる。すると、彼女はこう答えた。
 
    "In front of VELI."
 
なぬ。ベリの前だと。確かに、食べ物を売ってる気配はあったが、いわゆる食事ではなく、小麦粉などの食材を売っているところだと思っていた。しかし、オポチュンが頼んだ食事は、ご飯に何やらペースト状のものがかかっていて、あとなぜかご飯に若干のパスタもかかっていたが、昼ご飯にしては上出来のものであった。今日も昼ご飯をまたマニュアシに頼むのは気が引けると思っていたので、すかさずオポチュンに言った。
 
    "I want to have the same one."
 
すると、オポチュンは少し気まずそうな顔をした。いくらかを尋ねると、
 
    "100 cfa."
 
なぬ。100セファ、日本円で20円だと。今までよく買っていた、ご飯と魚のセットで500セファ(日本円で100円)、サンドウィッチでも250セファ(日本円で50円)したのに、この食事だと100セファ?聞き間違いかと思ったが、オポチュンは確かに100セファと言った。
 初めてなので、目の前にあるお店と言えど、通訳がてらオポチュンがついて来てくれた。本当に徒歩30歩のところである。オポチュンがオーダーをすると、売っている女性はお皿にご飯をこんもりと乗せ始めたので、慌てて制し、次にペースト状のものを上から乗せ、謎にパスタもつけてくれた。女性がオポチュンに何かを問い、オポチュンが通訳をしてくれた。
 
    "Do you want fish or an egg? If so, you have to pay 200 cfa."
 
なるほど。魚か卵をつければ200セファか。それならば、と思い卵をつけることにした。お皿もスプーンも借りて、ベリに戻って食べた。

f:id:MakiBenin:20191121211615j:plain

ご飯の上に、野菜のペースト、その上に卵である。
 オポチュンは、さっきからひたすら、
 
    "Is it good for you?"
 
と怪訝な顔で聞いてくる。何がだ。ご飯は好きだし、このペースト状のものも、トマトや玉ねぎなどの野菜で、少々辛いがクラリスもよく作ってくれる、美味しいものだ。何も問題など無い。マニュアシにもオポチュンにも歩いて買いに行けるところは無いかと2、3度聞いたが、2人揃って、無いと言った。どうして目の前にあるこのお店のことを教えてくれたなかったのだろうか。ましてや100セファならば、毎日食べたところで500セファだ。経済的にもいい。英語が通じなかったのかな、と思うことにした。
 しかし、オポチュンは私がこの食べ物を私も頼みたいと言ったときから、何やら不安げな顔をしている。食べているときも、
 
    "Is it good for you...?"
 
と聞いてきた。味も全く問題無いし、何をそんなに心配しているのかが分からない。私は普段、秘書のオポチュンと一緒にいるのだが、入り口にいるものだから、人の出入りも多い。そして、私が食べているものを見るや否や、他の人も一瞬ビックリしている。
 家に帰ってクラリスに、
 
    "Today I got lunch for 100 cfa."
 
と嬉しそうに報告をすると、クラリスもまた怪訝な顔をした。そして、
 
    "What did you eat? Where did you buy it?"
 
と聞いたので、目の前にあるお店だ、と答えると、クラリスは頭に手を当てて、
 
    "Is it good for you?"
 
と、これまたオポチュンと同じことを聞いてきた。なぜ、同じことを聞くのか。美味しかったし、安かったし、どうして誰もこの場所を教えてくれなかったのか、と言うと、クラリスは、
 
    "I'm worried about your health. Don't eat it again. You will get sick again."
 
と言ってきた。え。
 
    "...Why?"
 
と聞くと、
 
    "Sometimes the local food is not high quality. For us, it's OK, because we were born here and we have been eating since we were children. But you are from Japan, the most developed country! You cannot eat it. And you are a teacher! Don't eat the cheapest food!"
 
とまくし立てられた。なるほど、それはそれは。だからみんな怪訝な顔をしていたのか。しかも、言われてみれば、そのうちの誰かに、
 
    "You are Japanese!"
 
と言われた。そのときは、なぜ私がこれを食べているときに、私が日本人であることが関係あるのかが分からなかったので、スルーしたのだ。
 先進国の、しかも先生が食べる食事ではないということか。だからマニュアシもオポチュンもこの場所のことを教えてくれなかったのか。ベリの卒業生であるクラリスも昼ご飯のことを相談したとき、教えてくれなかった。マニュアシにお昼ご飯を頼むとき、私は500セファ以上使いたくないと言うと、いつも頭を悩ませていたのは、先進国の先生に食べさせられるもので、500セファ以内で買えるところを考えていてくれたのか。そうとは知らず、私はいつもケチケチとしていた。
 しかし、当の本人の私はと言うと、極めてそんなことはどうでもいい。そりゃ確かに見た瞬間に衛生面が心配されるところでは買わないが、今日買ったところはお皿もスプーンも洗ってあったし、ご飯やペーストにもきちんと蓋をしていたので、少なくとも見た目上で衛生面に不安はない。現に今、食べてから何時間も経っているが腹にも何ら異変はない。
 100セファで昼ご飯がたらふく食べられるなんて、贅沢ではないか。しかも、私がここまでケチケチしているのは、実は今、まだベリからきちんと給料をもらっていないからだ。クレオパトラさんにも Mr. リオネルにも、会えばいつもご馳走してもらったり、何かを買ってもらったりもするので、実質的に色々与えてはもらってはいるものの、給料という形ではもらっていない。だから、日本で貯めてきたお金を切り崩して生活しているのだ。
 もちろん、ベナンでの生活ならば、日本ほどお金を使うことはないが、そうは言っても節約出来るところは節約せねば、長くこっちに滞在することが出来なくなる。基本的に貯蓄という概念がないベナン人とは違い、ここは先進国の人間らしく、先々のことを考えてお金を貯めているのだ。
 先進国の先生が食べるものとしてはどうやら良くないらしいが、美味しいし、飽きるまではここで買おうと思う。お金があれば、そりゃリッチに豚肉が食べたいし、固すぎて肉の味がもはやしない牛肉も食べたい。しかし、払えないものは仕方ないではないか。
 さらにクラリスは、もう少しお金を出して、マニュアシに買ってきてもらえばいいと言うが、日本では人を遣って食べ物を買いに行かせることはあまり一般的な行為ではない。とクラリスに言うと、
 
    "You are a teacher!"
 
とまた言われた。どうやら私は先進国の人間としても、先生としてもベナン人にとってそぐわないようである。