ベナンに到着とクラリスとの再会

 2月3日(月)、またベナンへ戻ってきた。私は海外旅行は好きだが、同じ国に行くことは1回も無かった。それが、まさかパスポートにベナンの入国審査のスタンプが3回も押されることになるとは。

 珍しくフライトも順調で、乗り継ぎも難なくこなした。機内食も豪快にモリモリと食べ、グースカと眠り、排便もし過ぎなくらいにして、乾季真っ只中のベナンに降り立った。
 事前にクラリスが迎えに来てくれる手筈になっていたが、何と連絡がつかない。空港に着いたはいいが、さっきからクラリスが WhatsApp のメッセージを見ていないようだ。ということで、この何も無いベナンのカジェフォウン空港で待つことにした。しかし、文字通りこの空港には何も無い。インターナショナル空港ではあるものの、土産品の類は一切なく、待つことが出来るようなカフェなども無い。空港職員も働く気があまり無いのか、たいてい椅子に座ってスマホをいじっている。そして私を見ると、「ニーハオ」と言って、電話番号を聞く。本当にこの国は、日本以上に平和ボケをしているようだ。そんな、いつもと変わらないベナンの空港ではあるが、やはりコロナウイルスに警戒してか、さすがにここでも職員がマスクをしているのが何だかおかしかった。意外とちゃんと警戒していたのか。
 予定より早く着いたこともあって、空港ではだいぶ待った。Wi-Fi が途絶える空港の外に出てはまずいので、建物の中にいたのは良いが、それにしても暑い。雨季は寒いと感じることもあったのに、乾季はこんなに暑いのか。乾季といっても、月によって違うらしく、1月から2月は特に暑いそうだ。
 1時間半ほど経ってようやくクラリスから、タクシーのドライバーが向かっているという連絡をもらった。残念ながらクラリスは仕事で向かえないそうだが、タクシーを手配して空港に寄越してくれているという。外に出ると、それっぽい人が、私を見ながら、
 
    "Maki?"
 
と聞いてきた。恐らくクラリスから「フランス語も現地語も出来ないヨボ(現地語で「外国人」のこと)」と聞かされていたのだろう。彼は、片言の英語で
 
    "Welcome Benin."
 
と言った。彼によると、一度クラリスの仕事場に向かって、クラリスがその付近でペットボトルの水とトイレットペーパーを買ってくれるそうだ。それも乗せて、家まで私を送り届けてれるそうだ。片言ながらも伝わる英語で彼はそう教えてくれた。ベナンのいいところはこういうところだ。外国人を排除する人はおらず、英語しか話せないと分かると一生懸命英語を使ってくれる。元々恐らくベナン人、というかアフリカ人は話好きということもあるのだろうが、片言であっても構わずガンガン話してくれるところが意外と好きだったりする。
 クラリスの仕事場に着いた。クラリスに会うのは約2ヶ月ぶりだ。中からクラリスが出てくるのを待った。とてもワクワクしながら。出て来たクラリスと、お互い言葉を交わすことなく抱き合った。まるでお互い、ハグをすると前もって決めていたかのように、自然と抱き合い、しばらくは無言であった。しばらくして私から、
 
    "I have missed you so much..."
 
と言うと、クラリスも、
 
    "Me, too."
 
と言ってくれた。そして、疲れているだろうから家に帰ったらゆっくり休んで、と気遣ってくれた。ドライバーが言っていた通り、クラリスは近くで水とトイレットペーパーを買ってくれた。ちなみに現地人は通常ペットボトルの水は飲まず水道水を飲む。そして、トイレットペーパーも基本的には使わない。じゃあどうしているのか。拭かないということであろう。ただし、あれば使うそうだ。
 クラリスは仕事がまだ残っているので、ペットボトルとトイレットペーパーと私とスーツケースを乗せて、タクシーは家に向かった。道中、猛烈に眠気が襲った。飛行機でも散々寝ていたのだが、やはり日本との時差が8時間(日本が進んでいる)もあると、相当体内時計も狂ってくる。
 無事に家に着いて、ドライバーがスーツケースも中に入れてくれた。礼を言って、ドライバーが去った後、私はスーツケースの中身を取り出して整理を始めた。中はほとんどが、ベナンの子どもたちのために日本の皆様が集めてくださったものだ。中には、クラリス自身に向けたお土産もある。早くクラリスにこれらを見せたい。
 片付けが終わるとまたもや猛烈に眠気が襲った。クラリスはきっと夜遅くに帰ってくるので、それまで寝ることにしよう。シャワーを浴びて、昼寝をすることにした。
 物音で目が覚めた。リビングの電気もついているようだ。クラリスが帰ってきたらしい。寝室を出て、クラリスを出迎えた。そこでまたハグをし合った。2ヶ月ぶりに会う私のパートナーは、髪型が変わったくらいで他はちっとも変わっていなかった。そして、テーブルの上に広げたプレゼントの数々を見て、本当に驚いていた。誰からもらった品であるか、一つ一つ、説明した。クラリスはその一つ一つに本当に感謝をしていた。特に、鉛筆とペンの数には仰天していた。そのうちの1つはしっかり自分のものとして納めていた。チョコレートや飴も、クラリスのために持って帰ったものではあるが、翌日には綺麗になくなっていた。1つくらいくれるかな、と思っていたのだが。
 私とクラリスにお揃いに、とムーミンのバッグをくださった方もいた。オレンジと緑で、私はどちらでも良かったので、クラリスに選ばせたところ、マキにはオレンジが合うから、と言って、クラリスは緑をとった。アフリカ人がムーミンのバッグを持つというとても異色なコラボレーションとなって、面白かった。クラリスはお揃いのものを持つことが出来て、とても喜んでいた。
 私の仕事先の上司であるリオネルからは、仕事を再開するのは月曜日からで良いと言われている。それまで1週間もあるのでしっかり休養が取れる。日本での生活が忙しすぎて寝不足も続いていたので、大変ありがたい。クラリスと再会の喜びを分かち合った後、また私はグッスリ眠ることにした。再びベナンへ戻ってきたのだ。またワケワカメなことは降りかかるだろうし、楽な生活ではない。しかし、まだまだやり遂げたいことがある。クラリスと一緒に、また頑張っていきたい。

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いただいたムーミンのバッグとクラリス