ビザが遅いといざフランスへ

 9月6日(日)、朝4時に起きた。今日、ベナンに向けて出発する。とは言え、まずはフランスで1泊しなければならないのだが。成田出発は午前10時35分だから、7時半には成田に着くように家を出た。台風が来ていたが、幸い現時点では雨が降っているだけで、エールフランスから欠航や遅延の情報も入っていない。航路を見てみると、西日本は通過しないし、大丈夫ではないだろうか。

 昨夜は大いに焦った。ビザが届くのに時間がかかって、発給されないのかと思ったのだ。ピザではない、ビザだ。査証だ。ベナンに入国するには、ビザが必要だ。電子ビザなので、スマホでも簡単に取ることが出来る。しかも、手続き完了から数秒でメールで届くから、前日に取っても差し支えない。だから、私はいつも出発直前に取っていた。しかも今回は、飛行機の飛ぶ飛ぶ詐欺があるかもしれないから、先に取ってもしまた飛行機がキャンセルになった場合、そのビザが使えなくなるかもしれないので、前日に取ろうと決めていたのだ。そのビザが、いつもならすぐにメールで届くのに、なかなか来なかった。ビザの発行にはお金がかかる。ユーロで払うのだ。滞在する日数が30日以上なので、私は100ユーロほど払わなければならない。すでにカード決済も済んでいる。手続き完了のメールも届いている。これで発給されなかったら、私の100ユーロはどこに消えたというのか。出発の日がずれて、その返金もされるか分からないし、さらに別の便を取ったことで大損を食らっているのだ。頼むから、これ以上お金を使わせてくれるな。祈れども祈れども、来ない。時刻はすでに12時を過ぎていた。朝4時に起きなくてはならないというのに、いつまで待てというのだ。
 もう我慢が出来なかった。メールを送って、ビザがまだ届いていないことを説明した。これで発給されなかったら、クラリスに電話をして、大使館に電話をしてもらおう。お金も払っているし、手続き完了のメールも届いている。私に何も落ち度はない。あとはクラリスに恫喝めいた電話をしてもらって、何としてでも入国させてもらうつもりでいた。そう思うと、安心して眠ることが出来た。
 朝起きると、メールが2通届いていた。1通は、ビザの発給が遅れたことを詫びるもので、もう1通に無事に電子ビザが添付されていた。よし、これでもう何も怖いものはない。クラリスに恫喝してもらう必要も無くなった。
 父と母には、出発する際に見送りをしてもらえれば満足であったが、雨が降っているということで、父が最寄りの駅まで送ってくれることになった。ありがたい。傘も父に持って帰ってもらうことが出来る。あとはひたすら電車とバスなので、雨に濡れる心配もない。
 成田に着くと、異様なほどに閑散としていた。と思いきや、後からワラワラと人がやって来た。それでも、圧倒的に少ない方ではあるが、皆一体何しにどこへ行くのだろうか。と、他人事のように考えてみる。お前こそこんなときに何しにどこへ行くのだ、と思われているのだろうな。正直、今回の渡航は、賛否両論であると思う。心配しながらも送り出してくれる人が多かったが、やはりプロジェクトのためとは言え、行くべきではないと思っていた人だっていたはずだ。それは分かっている。だから、「危険を冒してまでベナンの子どもたちのために行く」なんて美談にするつもりはない。もし私が感染者となったら、美談どころかただの迷惑行為でしかないのだ。成功すれば褒められるかもしれないが、何かトラブルに見舞われたら批判は私に集中することも分かっている。自己責任だ。どんな理由であれ、こんなときに行った方が悪い、と思われるのだ。色々な気持ちが心の中を渦巻いている。不安、心配、恐怖、そして少しの楽しみ。果たして、私の渡航は吉と出るか、凶と出るか。成田まで来てくれた友達に見送られて、まずは経由地、フランスを目指して旅立つ。

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成田の様子。

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行って来ます。